増税や物価高で国民負担が増え続けるなか、ひさしぶりに減税の話題です。
2023年10月、岸田首相が実施した所信表明演説のなかで「国民への還元」として今回の定率減税がありました。
これが2024年6月からスタートしますが、いまいち分かりにくいので、今回はこの定額減税について書きたいと思います。
定率減税とは
定率減税は我が国悲願であるデフレ脱却のための一時的な処置として所得税・住民税を減税し、国民の可処分所得をを直接的に下支えする制度です。
分かりにくいので簡単に書き直すと、
「物価が上がっているのに賃金上昇が追い付いていないので、給与から引かれている所得税や住民税を直接的に控除して、手取りを増やします。だから、物の値段は高くなっていますが、手取りが増えますので節約せずに買い物をして、経済を回してください。」
という事だと思われます。
たしかに30年間デフレで経済が停滞していた日本が、ここにきて物価上昇してきましたので、政府としてはこの流れを止めたくない。という想いがよく分かる制度です。
ここからは制度の中身について詳しく見ていきたいと思います。
定額減税の詳細
2024年6月からスタートします。
所得税は一人当たり3万円、住民税は所得割額から1万円の減税となります(住民税は7月より減税)
ただし合計所得金額が1,805万円超の方(給与収入が2,000万円超)の方は対象外となりますので、ご注意ください。
※子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除を受けられている方は2,015万円以下が対象
また、同一生計の配偶者と扶養親族も同額が加算されますので、例えば配偶者とお子様1名を扶養されている3人家族の場合、
所得税の定額減税額 3万円×3名=9万円
個人住民税所得割額の定額減税額 1万円×3名=3万円
合計 12万円が減税されます
減税の方法は所得税と住民税で少し違いがあり、
所得税では2024年6月より給与から源泉徴収されている所得税を直接減らします。
また、単月で控除しきれない分は翌月の給与から控除されます。
たとえば毎月の所得税額が2万円で、配偶者とお子さんを扶養している3人家族の場合、下記の図のようになります。
住民税では2024年6月は徴収せず、7月から2025年5月までの11ヶ月間で減税額を均等に割り振って徴収します。
例えば個人住民税所得割が30万円で、配偶者とお子さんを扶養している3人家族の場合、30万円-3万円(定額減税分)=27万円÷11ヵ月=24,545円が均等に分けて徴収されます。
と、このように定額減税は給与から引かれる所得税・住民税を安くして手取りを増やす制度です。
ここ最近、度重なる増税で苦しんできた我々には有難い減税策ですね。
ただ、あくまでも本来支払うべき税金を差し引いている制度になりますので、所得税や住民税を納税しているが、その金額が4万円に満たない場合は、定額減税の恩恵を十分に受けれないという問題があります。
そこで政府は「定額減税の恩恵を十分に受けれないと見込まれる所得水準の方」に減税額と納税額の差額を給付金で支給するよう制度設計しています。
ここでは詳しく書きませんので、下記の図を参考にお住いの市町村にてご確認ください。
住宅ローン控除との関係は?
住宅ローン控除は住宅の新築・取得・増改築に住宅ローンを借りた方が対象で、年末のローン残高の0.7%を所得税や住民税から差し引くことができます。
住宅ローン控除は、まず所得税から差し引き、あまりが出たら住民税からも差し引く事ができます(限度額あり)
定額減税で所得税・住民税が差し引かれてしまうと、住宅ローン控除で差し引ける金額が少なくなるのでは?という疑問がわきますが、控除は住宅ローン控除から優先して行われます。
住宅ローン控除が大きく、2024年12月までに定額減税分の控除が出来ない場合、差額は給付として受け取ることができます。
政府はこの制度において、出来るだけ「損」が発生しないように考えられていますね。
ふるさと納税との関係は?
ふるさと納税とは、「故郷や応援した自治体に寄付ができる制度です。
上限はありますが、寄付金から2,000円を引いた差額が所得税・住民税から控除されます。
このふるさと納税は、節税ではなく住民税の先払いなので、今年度の定額控除には影響ありません。
また、ふるさと納税は住民税所得割額から恩恵が最大化する寄付金額の上限を計算していますので、定額減税が行われることで所得割額が減ってしまうのではないか?という心配もあります。
そこは総務省の資料に「ふるさと納税の特例控除上限額(所得割額の2割)等について、定額減税「前」の所得割額とする。」と記載がありますので、影響はないと考えて良いですね。
ふるさと納税サイトで上限額を計算するとき、定額減税は無視して考えて下さい。
まとめ
2024年6月から開始される「定額減税」
ここでは給与所得者のみを簡単に書いてみましたが、事業所得、不動産所得などで金額の違いがあります。
給与所得者は6月になれば勝手に会社がやってくれますので、手取りが増えるのを楽しみに待ちましょう。(会社は面倒ですが・・・)
また低所得者給付枠や低所得者の子育て世帯への給付など、書いていない事が多々ありますので、詳しくはご確認ください。
参考までに、こういう制度を毎回分かりやすく書いているのが公明党のサイトです。
私は公明党支持者では有りませんが、非常に分かりやすいので参考にして下さい。